hanekakusiのブログ

『猫とかわうそ』http://hanekakusi.web.fc2.com製作日記です。読書の感想も書いています。

読書

『母アンナの子連れ従軍記』

ブレヒトがスウェーデンに亡命していた時の作品です。これは文句なく傑作だと思います。 時は三十年戦争の頃、アンナは父親の違う三人の子を連れて、従軍商人をして強かに生計を立てています。戦争を食い物にして金儲けをしているものの、その戦争が、皮肉に…

『愛着障害 子供時代を引きずる人々』

少し前からこのブログに読書の感想を書いておりますが、気付いてみれば常に酷評ですね。愛情ゆえではあるのですが。まあ今回も、悪口しか書きません。この本に対してというより、クオリティの低い新書が多い事への抗議のつもりです。新書というのは普通、基…

『妖精の女王』

タイトルを見るといかにもファンタジーっぽいのですが、そうではありません。道徳教育を目的として書かれた寓話です。妖精の女王とは、当時の統治者エリザベス女王のことです。 この作品を読んで、私は文学の功罪というのを考えずにはいられませんでした。以…

『人はなぜ戦争をするのか』

フロイトの評論を集めたものです。人はなぜ戦争をするのかというアインシュタインの問いに対し、フロイトは、人間には性的欲動(エロス)と攻撃欲動(タナトス)があり、攻撃欲動というのは無くならないものだと説きます。しかし、人に愛されたいというエロス的…

『O嬢の物語』

知り合いの澁澤龍彦好きに勧められて読みました。 ところで私の知り合いにDV離婚した人がいるんですけど、暴力に疲れ果ててか、気弱そうで、すごく冴えない雰囲気が漂っていました。離婚して自分に命令をしてくれる人がいなくなって本当に一人でやって行ける…

『群盗』

私は『バートラム』を訳してから、この作品を読みました。しかし順序が逆だったようで、『バートラム』は『群盗』の影響を受けているんですね。不勉強でした。 弟の奸計により、父の元へ帰還しそこねた放蕩息子が、自由を求めて盗賊になります。若いエネルギ…

『フーコーの振り子』

ウンベルト・エーコは、存命の作家の中ではいちばん好きです。以前『完全言語の探求』を読んでとても感動しました。今作は娯楽小説で、ヤコブ・ベーメに似た名前の同僚が、テンプル騎士団を名乗る者たちに拉致されるところから話が始まります。ちなみに主人…

『プラグマティズム』

私がプラグマティズムに興味を持つようになったのは、エマーソンの影響です。エマーソンはW.ジェームズの名付け親です。ジェームズの学説はエマーソンの何歩か先を見ていると思いますが、ジェームズの著作にはことある事にエマーソンの名が出て来るので、深…

スコット『アイヴァンホー』

スコットはマチューリンの才能を見出した人物なので、読んでおきたいと思いました。『アイヴァンホー』は、第三次十字軍の頃のイングランドを舞台にした騎士物語です。『バートラム』と同じ頃、1819年に発表されました。ドラクロワの『レベッカの略奪』はこ…

黄金の壺

『くるみ割り人形』で有名なホフマンの作品です。彼の作品は、雰囲気がどこか小さい子がよく出まかせにする作り話みたいです。それがいつしか、現実に取って代わってしまいます。 『黄金の壺』は、ある純粋な青年と、緑色の蛇との不思議な恋物語です。ここに…

ふたりのロッテ

ケストナーの児童文学の名作です。本当にいい作品で、それに文章のリズムもすごくきれいです。本当に心暖まる作品だと思うのですが、しかし私は読んでてかなりつらくなりました。 多分、こんな素敵な作品を読んで心がすさむ人は少数派です。ですが今回は、ケ…

トリストラム・シャンディ

本題からちょっと外れますが、武雄市の図書館で貸出件数の少ない蔵書が処分されてしまったそうで、中には貴重な古書も含まれていたとか。残念で仕方ありません。 私は『メルモス』を最初図書館で借りて読みましたが、それまで下巻の最後まで読まれた形跡は全…

『ラプンツェル』 王子は魔女を殺さない

現在、ドイツ語を勉強中です。『ラプンツェル』を読みました。 この話、魔女は一体何をやりたかったんでしょうね。それから、王子は何をやってるんだと思いました。王子がさっさと魔女を退治すればすむ話ではないかと。 私は専門家ではないですが、王子(英雄…

道楽と職業

夏目漱石の講演録です。 曰く、職業とは他人本位のものです。人様の為と言っても「人の機嫌を取ってお金をもらう」ものです。他人本位になりすぎて自分を失うと、卑しい行為も厭わなくなります。 一方芸術家や哲学者などは自己本位でなくては成り立たないも…