hanekakusiのブログ

『猫とかわうそ』http://hanekakusi.web.fc2.com製作日記です。読書の感想も書いています。

エウリピデス『トロイアの女』

トロイ陥落後、男たちは皆殺しにされ、奴隷となってギリシアへ連れて行かれる王族の女たちを題材にしています。この劇が書かれた背景には「メロス島事件」というのがあったらしいです。時はペロポネソス戦争の頃であり、スパルタ寄りだったメロス島に侵攻し…

『画本虫撰』

喜多川歌麿が挿絵の、江戸時代の和本を豆本で復刻したものです。芸艸堂という和本の版木をたくさん保存している歴史ある出版社があるのですが、そこが出しています。 歌麿が色々な虫と季節の植物の絵を描いていて、それぞれの虫の名前を織り込んだ、色恋にま…

『イリアス』の色彩について

虹の色は七色だと言います。理科の授業でそう習いますからね。でも私自身、虹が七色に見えたことはなく、どう頑張っても五色くらいしか見分けられません。しかしあるいは人によっては十二色くらいに見える人もいるのかもしれません。 一般に、文明が進歩する…

『イリアス』

『イリアス』は冒頭にあるように、アキレウスの「怒り」の物語です。では、アキレウスの怒りとは何であり、何故ホメロスはそれを詠い、現代でも名作と言われるのでしょう。 アキレウスが怒ったきっかけは、自分が戦利品として得た女のブリセイスをアガメムノ…

『アンフィトリオン』のアンブロシアについて補足

翻訳の方がなかなか進められていませんが、言い訳をすると、今は自分に足りない基礎的な教養を身につけようと思い勉強に勤しんでいます。 『イリアス』を今読んでいて、第14歌のヘラがゼウスを誘惑して眠らせる場面に至ったのですが、ここでヘラは美しさに磨…

猫ごはん その2

今回は猫ごはん専門家サワラ先生(猫)がとくにお好きなカルカンパウチについて、実食の上詳しく検証してみました。 ・かつお節入りマグロとささみと、お肉お魚ミックス(まぐろ・かつお・ささみ)の違いについて かつお節入りマグロとささみは、食べた瞬間に…

知り合いの方が蚕を飼っておられるのですが、去年20匹購入したのが今年は500匹以上に増えたそうで蚕まみれになっています。蚕は人間が品種改良して作った虫なので、自然界では生きられません。何と枝につかまっておく事すらできません。しかし、いつも守って…

依存症フォーラム

確かアメリカ人の書いたものだったと思いますが、医者が活躍できるかどうかは家族に恵まれるかどうかによる、というのがありました。当時の私は何事も個人の努力によるし、周囲の環境は言い訳にできない信じていたのですが、今はわかる気がします。誰もから…

猫ごはん

この度、猫ごはん専門家のサワラ先生(猫)にご協力いただき、様々な猫用フードを実食し検証してみました。 ・インドアキャット用カリカリ: パサパサしていて、ほとんど蛋白質という感じ。塩味がかなり薄い。ちょっと猫っぽいにおいがする。 ・カルカンまぐ…

『放浪者メルモス』第3章: 演劇について

このところ17世紀イギリス演劇の話が延々つづき、辟易しています。正直よく知らない分野で、すみませんが間違えてもわからないと思います。でも作者のマチューリンは演劇好きで、彼は本当はこんな小説よりも戯曲を書きたいんです。仕方がありません。 そうな…

アゲハ蝶

今日はそろそろホームページ更新します。がんばります。 植木にアゲハの幼虫が次々やって来て困っていましたが、親切な方々に食草を分けてもらえる事になり一安心です。今日、一匹が緑色の終齢幼虫になりました。かわいい♪どうやらナミアゲハのようです。虫…

『ギリシア哲学者列伝』

名前はいかにも難しそうな本ですが、元々あるプラトン好きマダムのために書かれたらしく、読むのに教養はあまり要りません。タレスに始まりエピクロスまでの多数のギリシア哲学者が取り上げられていて、ほとんどが聞いたこともない人でしたが 、学説よりも、…

青い鳥

駅のホームで可愛い青い鳥を見つけました。ちょこちょこ寄って来て全然逃げなくて、鳴き声も綺麗なんです。後で調べたらイソヒヨドリというそうで、この辺では少し珍しいみたいです。私は初めて見ました。それから今日はツバメも見つけました。もうすぐ5月で…

ベヒシュタイン『ヘビの冠』

ホームページの方が1月にアンフィトリオンの翻訳を終えて以来、はかばかしい進展がない状態です。数少ない来訪者をまた裏切ってはいけませんが、自分としてはGW明けには再開したいです。 今回はドイツの童話です。知らない人もいるでしょうから説明しますと…

『森のはずれシャックリのぼうけん』

子供の頃に読んだ児童書で、どうしてもまた読みたくなって探していたのですが、図書館で見つけました。現在絶版になっています。 芋虫のシャックリが、大事にしていた8つの靴を風に飛ばされてなくしてしまい、はるばる旅をして探して行く話です。大切な靴を…

渡邊二郎『自己を見つめる』

なかなか余裕がなくてホームページの更新が滞っています。時間はかかると思いますが、少しずつ出来るところからやって行きます。ここ数日の地震で、大して被害もなかったのにすっかり消耗してしまいました。死というのはいつも身近にあるものですね。忘れて…

サド『食人国旅行記』

引っ越しが終わって落ち着いたので、またホームページの方も再開しようと思います。どうぞよろしくお願いします。 この本は、サドを翻訳するということを話した人から、それならこれは読んだ方がいいと勧められて読みました。サドの思想を知る上では欠かせな…

『放浪者メルモス』の伏せ字部分について

『メルモス』には今まで何度か「ーーーー」となっている伏せ字が出てきていますが、罵りの言葉とか、牧師が口にするには相応しくないであろう言葉が入ります。間投詞Godも駄目みたいですね。何を言っているのかあまり気にする必要はありません。 それから…

スペイン語表記の間違いについて

ここしばらくの体調不良はやっと落ち着きましたが、間も無く人生8度目の引っ越しがひかえています。ボードレールのような引っ越し好きなら良かったのですが、せっかく住みよく育てた家を離れるのは残念です。これからしばらく忙しくなります。 さて細かいこ…

『夜のガスパール』

この本は本当にすごい。まさに魔法の本、衝撃でした。何で絶版なんでしょうね。しかしこの本は発売されて以来、はかばかしく売れたことは一度もないそうです。初版は何と21冊しか売れなかったそうですが、うち一冊をボードレールが手にしたのは幸運でした。…

シュトルム『みずうみ』

幼い日の美しい恋の思い出を老人が回想する物語です。プロットとしてはよくあるものではあります。愛を誓い合った二人がいて、男が何らかの理由で遠く離れている間に、女は心変わりはしていないものの(多くは経済的な理由から)親に強いられて別の男と結婚…

サド『ジュスチーヌ』

サドというのは、最も誤解されている作家の一人だと思います。作品よりも名前の方が有名というのもあります。中には彼をジル・ド・レ並の猟奇犯と思っている人もいるようですが、実際は人生の大半を牢獄や精神病院で過ごしたので、犯罪を犯すにも無理な状況…

ブレヒト『アンティゴネ』

ソフォクレスは私がいちばん好きな作家です。ソフォクレスの戯曲の登場人物の特徴は、ブレヒトの中でも触れられていましたが、頑なさにあると言えます。融通が効かず、自分に不利な場合にも折れることができず、まっしぐらに不幸に突き進んで行きます。こう…

『母アンナの子連れ従軍記』

ブレヒトがスウェーデンに亡命していた時の作品です。これは文句なく傑作だと思います。 時は三十年戦争の頃、アンナは父親の違う三人の子を連れて、従軍商人をして強かに生計を立てています。戦争を食い物にして金儲けをしているものの、その戦争が、皮肉に…

『愛着障害 子供時代を引きずる人々』

少し前からこのブログに読書の感想を書いておりますが、気付いてみれば常に酷評ですね。愛情ゆえではあるのですが。まあ今回も、悪口しか書きません。この本に対してというより、クオリティの低い新書が多い事への抗議のつもりです。新書というのは普通、基…

高島野十郎展

美術展を一日で三つハシゴして来ました。でも野十郎展がとても良かったので、他の印象が霞んでしまいました。主要な作品はすべて揃っていたし、なかなかここまで見られる機会はないと思います。野十郎は元々ローカルにしか知られていない画家だと思いますが…

『アンフィトリオン』仲直りについて

『アンフィトリオン』もだいぶ出来てきましたが、やっぱりモリエールはすごい。私は大好きです。これだけすごい作品は、あまり余計な事を言わずに鑑賞してもらうのがいちばんだとは思いますが、少し気になったことがありました。 アンフィトリオンとアルクメ…

『アンフィトリオン』 結び目について

まだ新年になって翻訳は更新できていませんが、『アンフィトリオン』で出てきた'noeud'という単語について触れておこうと思います。「結び目」という意味です。ちなみにフランス語ではoeはくっついて一字です。 ダイヤモンドを五つ繋いだ帯飾りのことを'noeu…

年末年始

年内のホームページ更新は今日でおしまいにして、体きついので二週間ほど休憩します。ご覧いただいた方はありがとうございます。 そもそもこういうページを作ったのは、自分の語学学習のためと、あとはやはり書物が好きだからです。入手しづらいマイナー作品…

猫とシュトーレン

近頃は、猫のおでこの匂いスプレーが発売されているらしいですね。 クリスマスということでシュトーレンを食べていたら、さわら先生(ネコ)が興味津々でした。日によって違いますが、さわら先生の首まわりはシュトーレンっぽい匂いがします。いい匂いです。…