『放浪者メルモス』第1章:まじない女
今日訳したまじない女のところですが、長々と作者の批判が述べられています。当時はまだ、アイルランド土着の(キリスト教由来ではない)信仰が多く残されていたことが覗えます。確かに、牧師としては捨て置けないですね。
まじない女の医術がインチキだと言うのはもっともかも知れませんが、西洋医学でも瀉血をしたり傷口に油を流し込んだりしていたわけですから、どっちが有害かは判定できません(しかしどちらの怪しい治療法でも、一定数の患者が回復していたことは確かです)
W.B.イエイツの『ケルトの薄明』では、以前アイルランドには妖精がいたけれど、教会ができ、誰も妖精の存在を信じなくなったので姿を消してしまったとありました。こうしたまじない女も姿を消して行ったのでしょう。