hanekakusiのブログ

『猫とかわうそ』http://hanekakusi.web.fc2.com製作日記です。読書の感想も書いています。

マチューリン『説教集』終了

『説教集』の中から3つだけ訳しました。この翻訳はこれで終了しておこうと思います。訳した印象としては、真面目に仕事してるなという感じです。非常に模範的な内容ですし、当時も高評価でした。全体的に良いことを言っているとは思いますが、やはり当時の国教会なので国家権力との結びつきは強いです。異教徒に対しても不寛容ですし、それは残念なところです。

このところ英文学を少し読み足して、漱石がイギリスが嫌いと言っていた理由が分かる気がします。以前はもっと感情的な理由だと思っていたのですが。私も当時のイギリスはずいぶん嫌いになりました。悪口を言わせてもらうと、何と言っても大国だし、どんな卑劣な侵略も自分たちの宗教で美化してしまう。島国根性で非常に排他的・独善的です。漱石が『トリストラム・シャンディ』がいいと言っていたのも今は分かる気がします。『妖精の女王』を読んだ後でこれを読んだら、本当にほっとさせられるでしょうね。

漱石がスターンを「牧師らしくない」と表現したのはいくつか理由があるんですね。下ネタ満載なところもでしょうけど、他にも牧師らしくもなく人を笑わそうとしているし(牧師的には現世は苦悩しかないはずです)、牧師らしくもなく異教徒とも共存できると言っています。最初読んだ時には正直面白さがよくわかっていなかったのですが、だいぶ見直しました。