hanekakusiのブログ

『猫とかわうそ』http://hanekakusi.web.fc2.com製作日記です。読書の感想も書いています。

『森のはずれシャックリのぼうけん』

子供の頃に読んだ児童書で、どうしてもまた読みたくなって探していたのですが、図書館で見つけました。現在絶版になっています。

芋虫のシャックリが、大事にしていた8つの靴を風に飛ばされてなくしてしまい、はるばる旅をして探して行く話です。大切な靴を一生懸命見つけようと、シャックリはもとより読み手も夢中になるのですが、話の最後で不意に、ひとつ次元の高いところへ視点が移動するのです。ここが凄いと私は思います。折角苦労して旅をしたのにと切ない気持ちになりますが、これで良かったのだと子供ながらに思いました。(ひとつ余計な事を書いておくと、探したのが靴だったというのは重要な点と思われます。帽子ではダメです。ユダヤの伝承でも、靴屋がセフィロトの最上位まで昇る話があります。仏教でも延々靴磨きをしていて悟りを開く話があります)

こんな良書がどうして絶版なのかと思いましたが、読み返してみると残念ながら理由がわかる面もありました。 もう40年前の本で、現代の子供の好みからは少し外れてしまっているかもしれません。途中アナゴ君に良く似たコメツキバッタが餅をついてる場面などがあるのですが、今の子供が面白いと思ってくれるかはわかりません。それに文体も、時代とともに変化するものなのだと思いました。現代で良いとされる書き方とは恐らく違っているし、古さを感じざるを得ません。

何だか時代を感じてしんみりとなりました。数十年で、本というのはこんなに変わってしまうのですね。でもこの話には消えて欲しくはないです。