hanekakusiのブログ

『猫とかわうそ』http://hanekakusi.web.fc2.com製作日記です。読書の感想も書いています。

まきまきの謎

16世紀ドイツの民衆本『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』を読みました。いたずら好きのティルが誕生してから死んで埋葬されるまでの、いたずらエピソードが94話あります。司祭様の寝ていたベッドにこっそりウンコをしておくとか、カラシの中にウンコを混ぜてコックに味見させるなど(ウンコかカレーかという問題は万国共通なのでしょうか)ティルの悪ふざけにかかると貴人も庶民もありません。いたずらの内容はかなり「不愉快」なものも多いですが、ティルは不思議と憎めません。例えるならスカトロ趣味の磯野カツオといったところでしょうか。とにかくウンコの話が多いです。引く人もいらっしゃるでしょうが「うんこー」と言ってはしゃいでいた頃の童心を思い出せれば、きっと面白く読めることでしょう。

しかしこんなウンコ話が、読み進めるにつれて切なくも感じられるのです。ティルは根っからの放浪者で、定職を持って一つの土地に落ち着く事は出来ません。いたずらをしては人々に疎まれ居づらくなり、別の土地へと移って行きます。こんな風に孤立して流れて行くより、多少の我慢はあっても決まった仕事をして一所に居着いた方が楽に決まっています。ティルにとって、町を追われる原因になるだけで何の得にもならないような、ボランティアとしか思えないようないたずらも多々あります。「不幸な星の下に生まれた」とティル本人が言っているのは笑い話かもしれませんが、こういう生き方しか出来ない彼の姿に、私は悲しみさえ覚えます。解説によると、これには作者のボーテが脚に障害があり、その上嫌われ者の徴税役人だった事も影響しているらしいです。

特に死に際が惨めすぎて笑えません。罪を悔い改めようと訪れた修道院でもいたずらをしてしまい「勝手に死んで悪魔の元へ行け」と追い出されます。死に瀕してもいたずらで下剤を盛られ、死の床に来た母親や聖職者も遺産目当てでしかありません。「死に際を見ればどういう人間だったかわかる」と人々は嘲笑います。しかし、神の救いも人々の縁も最期まで頼む事なく、アウトサイダーとしての生き方をあくまで徹底したティルの不屈の姿は正に圧巻です。だからこそ彼は立ったまま葬られ、永遠に生きる事となったのでしょう。

私は岩波文庫で読みましたが、中世の挿絵もついています。挿絵は当然ティルがウンコをしている絵が多いですが、気になるのが絵のウンコがぐるぐる巻いていることです。こういうソフトクリーム型のまきまきは鳥山明の発明だと勝手に思っていましたが、まさか中世ヨーロッパからの伝統があったとは知りませんでした。しかし私が未熟だからかもしれませんが、現実にはこういう形状のウンコは見た事がありません。どうして絵に描くと巻くんでしょうか。誰か詳しい人がおられましたら教えて下さい。今回も下らない事をどうもすみませんでした。

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