hanekakusiのブログ

『猫とかわうそ』http://hanekakusi.web.fc2.com製作日記です。読書の感想も書いています。

『マッチ売りの少女』

私は個人的にこの作品はとても好きです。何回読んでもボロボロ泣きます。それは多分私がおかしいんでしょうけど。

これは誰もが知っている作品ではあるものの、アンデルセンの原作を読んだ人は以外と少ないようです。そのため多くの人は、これは不幸な少女の話だと記憶していることと思います。しかしアンデルセンの意図したものは恐らくそうではありません。これはもしかしたら、幸福な少女の話と言ってもいいかもしれません。

少女は凍えても、暖かい暖炉を思い浮かべて温まることができます。一人きりでも、優しい家族と楽しいクリスマスを過ごす事ができます。死んで行くのにも、恐怖などまったく感じません。大好きなおばあさんと綺麗な星空へ昇って行けるのですから。この時少女は誰よりも幸福なのです。

明くる朝、人々は少女の遺体を見つけて憐れみを抱きます。ですが少女は微笑みながら死んでいます。そしてどんなに彼女が幸せだったか、わかる人は誰もいませんでした。

私は今まで、色々な物語を読む事ができてとても幸せに思います。どんなにつらい時にも、物語は私を幸せにしてくれ、時には星空の彼方へも連れて行ってくれます。それもこれまで色々な人がマッチを擦って、灯し火を残してくれたからなんですね。元々はきっと、書き手自身が暖まりたかったのでしょうね。