hanekakusiのブログ

『猫とかわうそ』http://hanekakusi.web.fc2.com製作日記です。読書の感想も書いています。

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ブレヒト『アンティゴネ』

ソフォクレスは私がいちばん好きな作家です。ソフォクレスの戯曲の登場人物の特徴は、ブレヒトの中でも触れられていましたが、頑なさにあると言えます。融通が効かず、自分に不利な場合にも折れることができず、まっしぐらに不幸に突き進んで行きます。こう…

『母アンナの子連れ従軍記』

ブレヒトがスウェーデンに亡命していた時の作品です。これは文句なく傑作だと思います。 時は三十年戦争の頃、アンナは父親の違う三人の子を連れて、従軍商人をして強かに生計を立てています。戦争を食い物にして金儲けをしているものの、その戦争が、皮肉に…

『愛着障害 子供時代を引きずる人々』

少し前からこのブログに読書の感想を書いておりますが、気付いてみれば常に酷評ですね。愛情ゆえではあるのですが。まあ今回も、悪口しか書きません。この本に対してというより、クオリティの低い新書が多い事への抗議のつもりです。新書というのは普通、基…

高島野十郎展

美術展を一日で三つハシゴして来ました。でも野十郎展がとても良かったので、他の印象が霞んでしまいました。主要な作品はすべて揃っていたし、なかなかここまで見られる機会はないと思います。野十郎は元々ローカルにしか知られていない画家だと思いますが…

『アンフィトリオン』仲直りについて

『アンフィトリオン』もだいぶ出来てきましたが、やっぱりモリエールはすごい。私は大好きです。これだけすごい作品は、あまり余計な事を言わずに鑑賞してもらうのがいちばんだとは思いますが、少し気になったことがありました。 アンフィトリオンとアルクメ…

『アンフィトリオン』 結び目について

まだ新年になって翻訳は更新できていませんが、『アンフィトリオン』で出てきた'noeud'という単語について触れておこうと思います。「結び目」という意味です。ちなみにフランス語ではoeはくっついて一字です。 ダイヤモンドを五つ繋いだ帯飾りのことを'noeu…