hanekakusiのブログ

『猫とかわうそ』http://hanekakusi.web.fc2.com製作日記です。読書の感想も書いています。

『神統記』

ヘシオドスの作と伝えられていますが、諸説あるそうです。よく引用される作品なので読んでおこうと思いました。

ヘシオドスは歌比べでホメロスに勝ったとウィキペディアに書いてありました。すごーい。神統記も翻訳ではわかりませんが原文はヘキサメトロス(簡単に言えば一行が長短短のリズムを六回繰り返す詩)らしいですし、恐らく後々の手本になるような美文なんだと想像します。

題材はギリシア神話で、とくに天地創造の話と、ゼウスがティターンと戦い主神になるまでの話の二つがメインです。ページ数も少ないですし、何か出来事を大まかに羅列してあるだけという印象を受けました。正直、私はこの作品の魅力がわかっていません。歴史的資料として貴重なのはわかりますが。他の本で読んで知ってる話だったし、以前読んだアポロドロスのとか、もっと物語として面白いギリシア神話はいっぱいある気がします。私に理解できてないだけかもしれないですけど。

でも、古典を勉強する人や神話が好きな人は早めに読んでおくと後の読書に役立つとは思います。とくに神々の系譜はごちゃごちゃで訳わかんないですけど、私の読んだ岩波文庫版では最後に家系図を載せてくれています。これはもっと早く手元に置いておきたかったですよ。使えます。

広告を非表示にする

ネルヴァル『幻想詩篇』

久しぶりに、翻訳の方が完成しました♪

最初この作品を読んだ時には、意味がよくわからないと思いました。でも訳してみると、そうでもなかったです。ネルヴァルと言えば電波なイメージはありますが、非常に頭脳明晰な人なので、意味の通らない文章なんて書きませんよね。ちゃんと、神秘主義の文脈では読み解けるんです。研究者の解説は必要ですけどね。

 

童男山古墳

八女古墳群の一つです。名前の由来は徐福伝説です。(明らかに年代は合いませんね)国道442を黒木方面に向かっていると看板があります。看板に従って進むと、不安げな細い道に入ります。右手に卵工場があって、その手前の道で左折すると広い駐車場があります。

あまり親切な解説がないので、予習して来なかった事を後悔。全部で27基もあるそうですが、発見できた1号、2号、12号、13号墳を見学しました。

12号墳と13号墳は駐車場のそばです。12号墳は倒壊していて中に入れませんが、13号墳は入れます。要懐中電灯。暗くてよくわかりませんが、ちょっと小ぶりです。装飾はないですね。石組みはきれいです。崩れかかって蔦が絡んでちょっとラピュタ化してます。それにしても、夏日でも古墳の中は涼しいですね。ずっと入ってたくなります。

2号墳は13号墳とおんなじ感じでした。1号墳は国指定史跡になっていて、少し登ったところにあります。他より大きめで、ここは石棺が残っています。今は仏像が置かれていますね。

キャッチーな装飾なんかはなく、古墳初心者向けではないですが、自由に見学できるので足をのばしてみるのもいいと思います。

広告を非表示にする

日ノ岡古墳・珍敷塚古墳

浮羽市に行って来ました☆ 毎月第3土曜の午前と午後に、日ノ岡古墳・月ノ岡古墳・珍敷塚古墳・楠名古墳を巡るツアー(無料)があります。事前予約制です。ボランティアのご老人たちが案内してくれます。

日ノ岡古墳は諸星大二郎暗黒神話』に自動催眠装置として登場した、同心円文が美しいミステリアスな装飾古墳です。色合いも比較的きれいに残っていますし、硝子越しでないのが良かったです。ただし、入口側ではなく天井から見る形になるので、壁面の装飾は見えにくいです。

月ノ岡古墳は石棺が見られるだけですが、ここからは立派な金の兜が出土していて、そちらの方が有名です。兜は貸し出されていなければ歴史資料館で見られます。

予想したより良かったのが珍敷塚古墳でした。道路工事で取り壊される寸前だったそうで、壁一枚しか残っていないのですが、そこに死者の魂を運ぶという天の鳥船が描かれています。写真よりずっと良かったですよ。少し退色はしてますが、色もきれいです。

楠名古墳は装飾古墳ではありません。戦時中は防空壕だったそうで、別の意味で歴史を感じる場所です。近くにある重定古墳の方を見たい気分でしたが、そちらは殆ど色褪せて絵柄が判別できないそうで、通常は保存のため非公開です。

ご老人たちは「こんなに凄いもんは他にどこにもない」とテンションMAXでしたが、本当に遠方からでも見に行く価値があると思います。ちなみに、秋に行くと地元名産の柿がお土産でもらえる事があるそうです。

 

ブロイラー/フロイト『ヒステリー研究』

フロイト最初の著作で、アンナ・Oをはじめとする有名な症例が報告されています。大まかに言えば、ヒステリー患者に症状の原因となった出来事を想起させて語らせれば症状が消える事を論じています。

しかし、読んでいてすぐに気付きます。最初の症例二人はあまり治っていないのでは・・・。ヒステリーの症状はまさに「ドラマチック」で、小説のように展開して行きます。しかも患者は良家の美しき社交界の花たちです。魅惑的なシチュエーションですね〜。何だか医者も取り込まれて、すっかり登場人物になっちゃってますね。ドラマの中の名探偵になった気分で楽しかったかもしれません。治らないのはわかる気がします。

アンナ・Oとエミーの二人は、催眠と暗示使って治療をしました。確かに催眠下で過去のトラウマを想起すれば症状の一つ一つはきれいに消えるんですが、休む間もなくまた次の症状に悩まされます。まさにイタチごっこです。読んでいても、全然問題の核心に迫らずに、表層をうろうろしつづけている感じでもどかしいです。これは患者が眠っていて能動性がなかった事が敗因と考えられます。現にフロイトはこの二人以外は催眠を用いず、覚醒した状態で想起させるようにして成果を上げました。

アンナ・Oは本名も今は判明していて、非常に有名な慈善活動家だったそうです。彼女はとても知的で魅力的な女性で、彼女を巡ってフロイトはブロイラーと確執を深めてしまいました。フロイトはヒステリーは性の問題が原因だと考えていました。ブロイラーも概ねそれを認めていましたが、性以外の原因もあると主張しました。とくにこのアンナ・Oの症例については、彼女は恋愛経験も全くない若い女性であり、性は関係ないとはっきり言い切っています。しかし私が読んだ印象ですが、アンナ・Oは後のエリーザベトの事例と同様、父親との癒着があったんじゃないかと思います。さらに悪いことに、熱心に往診を繰り返すブロイラーにアンナ・Oは父親投影をし、恋愛感情を抱いてしまいました。アンナ・Oは治癒したと本には書いてありますが、それはまったく事実の隠蔽で、実際は転移・逆転移の泥沼がブロイラーには手に負えなくなってサナトリウムに放り込んでしまったそうです。性の問題ではないとブロイラーが言ったのは、自己弁護でもあったような気がします。まあしかし、これはブロイラーの落ち度というよりも、当時はまだ安全な治療の枠組みが出来ていなかったんですね。

 

『孤独の科学』

心理学者のカシオポ博士が研究成果をまとめた本です。人が孤独を感じる理由を科学的に検証しています。面白い本でした。

何故孤独を感じるか、その理由は人間は社会的動物であるという事に尽きます。数万年前の人類を見てみれば、孤立=死でした。みんなで洞窟の中で身を寄せ合っていなければ、生存は不可能でした。カシオポ博士によれば、ホッブズの言う万人の万人に対する戦いなんてものが原始的社会ではありません。人間は単体では弱い生き物なので、互恵的な社会性なくしては絶滅していたでしょう。

しかし現代社会では原始時代ほどの固い結束は失われました。クマに怯えて群居する必要もありません。それでも人間の脳の構造はあまり変わっていません。孤独感は脳の旧い層、大脳辺縁系が司っています。そのため人々は今も太古の時代と変わらず孤独感を抱くことになります。

孤独感は不安や危機感を募らせ、人を自己防衛的にさせます。慢性化すると攻撃的になったり自己破壊的な行動をとったりして、余計に孤立を招くという事態に陥りかねません。その悪循環を脱するには、自己防衛的になっている自分に気づき、人や社会に貢献する行動を取るように心掛けるのがいいそうです。

カシオポ博士はいい事言っていると思います。でも本当に愛情を剥奪されて来た人に、社会貢献を勧めてもなかなか難しいですね。人の抱える大抵の問題は、誰かの深い愛情と受容があれば解決するんではないかと思いますよ。しかし乳幼児期に受けられなかった同じ愛情を、オッサンになってから受け取る事はまず不可能です。難しい問題ですよ。とは言え、自己防衛的になっている人を見つけたら、困った人だと決めつける前に、この人は孤独なのかな、と思って見てみる事が出来れば違うでしょうね。

社会に貢献する事に関しては、注意が必要なことも書いてくれています。私の周りでも、本当に人間関係で不幸な目に遭ってきた人に限って、まったく人を疑う事を知らない場合があります。孤独を経験して来た人は、他人が自分を利用する事への感受性が鈍って、自分の利益を守る事が出来なくなるそうです。要は人から利用され放題になります。しかしこのような無分別な利他主義が社会的関係を豊かにする事はありません。寛大に人の助けになりながらも、搾取や虐待から自分を守る事が必要だそうです。これはいい指摘だと思いました。

広告を非表示にする

竹原古墳

福岡県宮若市にあります。受付で215円払うと、おばちゃんが鍵を貸してくれます。

自分で鍵を開けて、電気を点けて中に入ります。解説してくれる人は誰もいません。しかし、とても保存状態がいいですし、硝子越しですが非常に良く見えました。隠れて見えにくい箇所もありませんでした。写真通りです。硝子の曇りを取るタオルとか手動のワイパーとかもありました。

赤と黒の二色で、中央に馬を引いた人がいて、周りに大きな団扇、龍、船、波などが描かれています。大陸の影響を受けている感じの絵で、装飾古墳の中では新しいもののようです。見た目にわかりやすい絵ですね。他の装飾古墳が意味不明な人でも楽しめそうです。

広告を非表示にする