hanekakusiのブログ

『猫とかわうそ』http://hanekakusi.web.fc2.com製作日記です。読書の感想も書いています。

『ゲーデル・不完全性定理』

ゲーデル不完全性定理と言えば数学者にも難解なことで知られていますが、これは『大学への数学』の吉永良正氏が書いたブルーバックスで「中学生にもわかる」という売りです。(まあしかし、私の通っていたようなリアル稲中は恐らく想定外でしょう)難しい話をよくここまで易しくしてくれたとは思いますが、やっぱり大人にも難しい内容です。ただ、高校数学までのレベル以上の理論は確かに使ってはいません。

この本については不完全性定理を扱った岩波文庫でプロの数学者の方が「中学生にわかるわけがない」と苦言を呈しておられますし、専門家の視点ではどうかはわかりません。しかし数学偏差値30台の私はこれ以上の本格的な数学書を読み解くことはどう頑張っても不可能なので、ありがたく思います。私でも一応最後まで読めたので、高校レベルの集合論を理解しておけば誰でも理解できることでしょう。

ところで人間は宇宙のすべてを理性で説明することは出来ない、その事は希望でしょうか絶望でしょうか。私自身は、常に探求し続けて、その時その時の最善を求められる柔軟で流動的な世界というのは悪くはない気がします。余談ですが、私にゲーデルを教えてくれた人は不完全性定理のために、自らの子どもへの愛情もやはり完全ではないのかと思い悩むという厄介な状況に陥っていました。そういう場合はフロイトの「人は愛すると同時に憎むことも出来る」という言葉を思うといいのかもしれません。形而上学的な命題をそのまま実生活に当てはめると往々にしておかしな事になるようです。