hanekakusiのブログ

『猫とかわうそ』http://hanekakusi.web.fc2.com製作日記です。読書の感想も書いています。

翻訳

ネルヴァル『幻想詩篇』

久しぶりに、翻訳の方が完成しました♪ 最初この作品を読んだ時には、意味がよくわからないと思いました。でも訳してみると、そうでもなかったです。ネルヴァルと言えば電波なイメージはありますが、非常に頭脳明晰な人なので、意味の通らない文章なんて書き…

バベル図書館がわからない その3

『バベルの図書館』の翻訳が進んでいます。短いから一週間もあれば終わりそうです。著作権が切れていないのでホームページに載せられないのが残念です。最近更新できずにすみません。 ボルヘスいいですね。読めば読むほど好きになります。とても明晰で読みや…

イシス信仰について

イシス・オシリスはエジプトの神ですが、神秘主義ではマリアとキリストにしばしば同一視されました。オシリスは農耕神で葡萄の栽培法を人間に教えたりする恵み深い神でしたが、悪しき神セトに殺されバラバラにされました。それをイシスがパーツを拾い集めて…

更新しています。

『サイスの弟子』第1章が終わりました。つづきもがんばります。 暑いので髪を切りに行きたいですが、美容院は苦手です。どうしてあんなに親し気に話しかけてくれるんでしょうか。いっそのこと三船敏郎のような人に黙ってザクッとやってもらいたいですよ。で…

更新しました。

ホームページを久しぶりに更新しました。 『メルモス』がずっと17世紀イギリス演劇の話で、正直難しくてよくわかりません。ドライデンくらい読んでおくべきなのかもしれませんが。時間をかけて色々がんばって調べはしたのですが、誤訳があるかもしれません。…

『アンフィトリオン』のアンブロシアについて補足

翻訳の方がなかなか進められていませんが、言い訳をすると、今は自分に足りない基礎的な教養を身につけようと思い勉強に勤しんでいます。 『イリアス』を今読んでいて、第14歌のヘラがゼウスを誘惑して眠らせる場面に至ったのですが、ここでヘラは美しさに磨…

『放浪者メルモス』の伏せ字部分について

『メルモス』には今まで何度か「ーーーー」となっている伏せ字が出てきていますが、罵りの言葉とか、牧師が口にするには相応しくないであろう言葉が入ります。間投詞Godも駄目みたいですね。何を言っているのかあまり気にする必要はありません。 それから…

スペイン語表記の間違いについて

ここしばらくの体調不良はやっと落ち着きましたが、間も無く人生8度目の引っ越しがひかえています。ボードレールのような引っ越し好きなら良かったのですが、せっかく住みよく育てた家を離れるのは残念です。これからしばらく忙しくなります。 さて細かいこ…

サド『ジュスチーヌ』

サドというのは、最も誤解されている作家の一人だと思います。作品よりも名前の方が有名というのもあります。中には彼をジル・ド・レ並の猟奇犯と思っている人もいるようですが、実際は人生の大半を牢獄や精神病院で過ごしたので、犯罪を犯すにも無理な状況…

『アンフィトリオン』仲直りについて

『アンフィトリオン』もだいぶ出来てきましたが、やっぱりモリエールはすごい。私は大好きです。これだけすごい作品は、あまり余計な事を言わずに鑑賞してもらうのがいちばんだとは思いますが、少し気になったことがありました。 アンフィトリオンとアルクメ…

『アンフィトリオン』 結び目について

まだ新年になって翻訳は更新できていませんが、『アンフィトリオン』で出てきた'noeud'という単語について触れておこうと思います。「結び目」という意味です。ちなみにフランス語ではoeはくっついて一字です。 ダイヤモンドを五つ繋いだ帯飾りのことを'noeu…

Vae victis 「敗者に災いあれ」

パソコンがまだ不調ですが、ホームページの更新は何とかできました。 『メルモス』の中にVae victis(敗者に災いあれ)と引用されていたので、解説しておきます。私はモンテーニュ読者なので、こういう話は大好きです。 紀元前390年に、ブレンヌス率いるガリ…

『自然論』について

パソコンはハード面の問題のようです。パソコン工房に行かないといけません。 『自然論』は随分前に訳しましたが、気になった点をここに書いておこうと思います。 本文中に「死体」という言葉は二回出てきます。「死体でさえ美しさを持つ」というようにです…

『サイスの弟子たち』クラドニ図形について

『サイスの弟子たち』はノヴァーリスの未完の作品です。ノヴァーリスは公務員をしていて、鉱山に勤めていたそうです。フライベルク鉱山学校で専門的な勉強もしたので、自然科学への造詣も深いようです。 作品の中にちらっと出て来た「クラドニ図形」について…

『アンフィトリオン』の元ネタについて

現在訳しているモリエールの『アンフィトリオン』ですが、ご存知の方も多いと思いますが元ネタのギリシア神話のことを少し書いておきます。モリエールに限らず、多くの作家たちに書かれた題材です。 アンフィトリオンは妻のアルクメネの兄弟を殺したタポス人…

マチューリン『説教集』終了

『説教集』の中から3つだけ訳しました。この翻訳はこれで終了しておこうと思います。訳した印象としては、真面目に仕事してるなという感じです。非常に模範的な内容ですし、当時も高評価でした。全体的に良いことを言っているとは思いますが、やはり当時の…

白秋と『青き花』

この前、姪が英語の歌のテープを聴いていて、懐かしいな~と思いながら耳を傾けていたら、何やら覚えのあるフレーズがリフレインしていました。♪yokaraka-john, yokaraka-john・・・♪うむ、これは英語じゃなくて柳川弁ではないですか。白秋め。 今年は白秋生…

マチューリン『説教集』女子教育の必要性について

『説教集』の訳を進めてはいますが、あまり読む人は少ないとは思います。だからはじめは『メルモス』と関連のある二つだけを載せる予定でしたが、『女子教育の必要性について』というのが目に留まったので、これまで訳すことにしました。 『メルモス』は中盤…

『放浪者メルモス』老メルモスについて

老メルモスはとてもケチな倹約家として描かれています。末期に及んでも、財産を失う不安に苛まれて死んで行きます。しかし彼は、ケチではあっても間違った事をする人ではなかったとあります。彼にも放浪するメルモスが見えているのです。(メルモスはトトロと…

『バートラム』第一幕

しばらく更新できませんでしたが、やっと第一幕を訳し終えました。ちょっと古めかしい英語を使った、しかつめらしい文章なので難しいです。第一幕のイモジーヌの台詞は、正直訳に自信がありません。 私の読解力の問題ではあるのですが、作者もちょっと気取り…

マチューリン『バートラム』

現在、マチューリンの戯曲『バートラム』を翻訳中です。この作品は、スコットとバイロンの後援のもとに上演され、ある程度の成功をおさめました。主演がエドムンド・キーンという有名な俳優だったらしいです。ただし、コールリッジが「非道徳的」と公然と酷…

『放浪者メルモス』第1章:肖像画

第一章を翻訳し終わりました。やっと肖像画が出て来ました。話がここから進んで行きます。この肖像画は、『ドリアン・グレイ』にも少なからぬ影響を与えたことでしょう。 ところで『ドリアン・グレイ』ですが、一箇所謎なところなあります。ドリアンは悪事を…

『放浪者メルモス』第1章:アイルランド弁

メルモス伯父さんの使用人の言葉ですが、ところどころアイルランド方言/訛りが含まれているようです。訳も訛った方がいいかとも思ったのですが、イングランド人にとってのゲール語って、関西弁なのか、東北弁なのか、鹿児島弁なのか、それとも外国語なのか、…

海賊ジェニーの歌

先日、ブレヒトの『三文オペラ』を読みました。とても面白かったので、その中から一つ歌を訳しました。でも有名なのはジャズにもなっているMack the Knifeです。 善人でいたいとは誰でも思うけど、この世で生き抜くには強かで狡くなくてはならない。人間とい…

マチューリン『説教集』

『メルモス』が途中なんですが、マチューリンの『説教集』から一編訳してます。彼の戯曲『バートラム』も翻訳しようと思います。というのは、私自身彼のことをもっと知りたいと思うからです。無神論者の私には牧師の説教なんてめんどくさいですけどね。 シャ…

『放浪者メルモス』第1章:密造酒

今回訳したところに、密造ウイスキーの話が出て来ました。アイリッシュウイスキーの歴史が垣間見えるかもしれません。ここにあるように、かつては庶民に出回る多くが密造酒だったそうです。酒税も逃れられますしね。 今有名なLAPHROAIGなども元は密造酒でし…

『放浪者メルモス』第1章:まじない女

今日訳したまじない女のところですが、長々と作者の批判が述べられています。当時はまだ、アイルランド土着の(キリスト教由来ではない)信仰が多く残されていたことが覗えます。確かに、牧師としては捨て置けないですね。 まじない女の医術がインチキだと言う…

『放浪者メルモス』の作者について(2)マイノリティーとして

『メルモス』の作者マチューリンは、アイルランドでプロテスタントの牧師をしていた人物です。祖先はユグノーで、迫害を逃れてこの地へ渡って来たのでした。アイルランドは現在も独立問題などで揺れていますが、そういう地でプロテスタントの牧師をするとい…

『放浪者メルモス』の作者について(1)聖職者として

私は本を読んで、作家の人となりを想像するのが好きです。どうしてこんな作品を書くハメになったのかと、その人の生い立ちからいつも考えます。その空想が正しいかどうかを知る術はないですが、恐らくそう外れてもいないのではないかと思います。 あと、本を…